吉田一級建築士ブログ
  • 2015年6月5日
  • 家の知識

杭を打つと「クイ」が残る?

※この記事は2015年6月5日に執筆したブログ記事の転載です。

近年の住宅の地盤改良は「既成コンクリートパイル」の技術が進んだ為、多くの住宅の地盤改良ではコンクリートパイルを地盤に打ち込んで建てられている現状があります。

一昔前はこうしたコンクリートパイル自体が存在していなかった為、現状の建替え物件の土壌について、地中に地盤改良杭が刺さっているケースは築浅物件の建替えを除き、ごく稀なことだと思われます。

私は、この地盤改良杭が、将来私たちの事を苦しめることになるのではないかと考えております。

売主が解体費用を負担して引き渡す解体更地渡し方式

現在、「解体更地渡し」といって、古くなった家が残ったままでは、買主が解体費用を負担しなければならず、これでは買い手がつかないため、売主が解体費用を負担して引き渡す販売方式として解体更地渡しは現行の不動産流通の中では多いです。

質問ですが、いま、皆さんが建てた家が、遠い将来に「解体更地渡し」をする必要が「無い」と言えるでしょうか?

もしそうなった場合、地盤改良杭を残したまま引き渡すと「地中障害物の瑕疵」が発生するため、地盤改良杭を引き抜いて、土で埋めて、引き渡すことになります。
地盤改良杭の引き抜きは、ケースによっては「300万円以上」掛かる場合もあり、せっかくの不動産売却も手元に残る資金がごくわずかという悲しい状況も想定できます。

新築時

解体時

解体後2

一昔前までは無かった地盤改良杭
地盤が悪い地域において、地盤改良杭を打ち込まなくても、不動沈下せずにちゃんと建っている家はたくさんあります。

また最近は、コンクリートパイルに依らない、天然砕石パイル工法が普及しだしており、将来の地中障害物への配慮から、採用が増えているといいます。
参考:天然砕石パイルハイスピード工法のホームページ

杭を抜いた地盤は安全?

杭を抜いた後は、空洞になってしまうため、土を埋めて締め固めることになります。
人為的に埋め戻した地盤は長年「自然の力」で締め固められたのと比べて、かなり緩んでしまうのではないかと考えます。

普段行っております基礎の工事でも1mほど掘削し、埋め戻しして締固めますが、引き渡しして一年後くらいに降雨などが原因で、部分沈下することが多く、これより何倍も深い(3m~20m)杭の埋め戻しが、安全とは言えません。

人為的に埋め戻した土地に、再建築するための地盤改良杭の打ち込みを行ったときには、杭の周辺地盤の圧力が低下していると考えるのが適切だと思われます。
この圧力低下を地盤調査で確認することはまず不可能だと思います。

杭引き抜き
杭引き抜きの状況

引き抜かれた杭の様子
引き抜かれた杭の状況

結論として、個人的な主観ですが、住宅ローンを組んで建てる家、その後何世代も住み継ぐわけでは無い家、は将来解体更地渡しの可能性が十分考えられるため、地盤改良杭の打ち込みは出来るだけ避けた方が良いと考えます。

アメリカの先住民族は「三世代先の事を考えて物事を決める」と言う話を聞いたことがあります。
現在の新築の地盤改良は、三世代先のことまで考えていると言えるでしょうか。

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